小さき頃の絵本のはなし

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懐かしい絵本の話を。

 

私の母は元幼稚園教諭で、結婚するまではいわゆる「幼稚園の先生」でした。私から見るとそんなに子どもが好きそうには見えなかったけれど、自然な感じで私の友人たちと接していたのが印象的でした。

 

そんな母なので、絵本をよく読んでくれていたのかといえば決してそうではなく、今思えば「絵本を読み聞かせしてくれた」という記憶は全く無いのです。今でこそ、幼稚園の先生や保育士でなくとも、学校でも家庭でも絵本の読み聞かせというのは広まってきたようですが、昭和50年代初頭の田舎の街にはそういう雰囲気はありませんでした。

 

でも私は、幼少時のことをいつも懐かしく思い出すのは、やっぱり絵本なのです。母に読んでもらわなかったけれど、そこそこの量の絵本が我が家にありました。母が好きで置いていたのでしょう、英文の絵本(ピーナッツとか、あと題名は忘れましたが)、ピーターラビット、バンビ、ミッフィーなど。ミッフィーなんかは大人になってから『ちいさなうさこちゃん』シリーズを手にした時に、猛烈にあの田舎の家の、母と絵本と本棚を思い出しで泣きそうになったものです。

 

あとは幼稚園で配本された福音館の「かがくのとも」シリーズ。母は大事に取っておいてくれました。あれは今でもハードカバー化されて超ロングセラーとなっています。数年前には「かがくのとも」50周年だったか、シリーズのすべてを網羅した「がかくのとものとも」という図鑑みたいな本も出版されました。

 

その中でも特に印象的なだったのがこの『ちのはなし』。自分と同じような子どもが、指をけがして流れる血を観察するんですよ。。。この子すごいな、と思った記憶があります(そこ?って感じですが)。でも、一言で赤い血と言っても、赤血球とか白血球とか、血小板とか、そういうもので構成されていて、ひとつひとつが大事な役割を果たしていて、それが私の全身に巡っている。体から流した血はやがて固まって(凝固)、その下の新しい皮膚を生成するために大きな役割をする。。

子どもにわかりやすいように、簡単にでも的確に、人体のことを説明している。でもただの解説にとどまらず、子どもが自分の身近なものとして感じることのできるような構成と魅力的な文章。今でこそ思いますが、絵本を作る大人は本気ですよね。子供相手に媚びない。絵も今でこそ超有名な絵描きさんを当時から重用しています。

 

他にすぐ思い出すのは『おなら』(長新太)、『たべられるしょくぶつ』(寺島龍一)『はははのはなし』(長新太)、『かみひこうき』(林明子)、『ひがんばな』(甲斐信枝)・・・・。

他にもたくさん絵本の思い出があります。書いていたらきりがないな。

 

子どものときの一瞬の思い出が、こんなにも今の私を作るものかと、人間って不思議なもんだと思います。今は絵本と子どもに関係する仕事に少し関わっているのですから。

初めてのブロク、とりあえずつらつらと書いてみました。

続けるかどうかはわかりませんが、気が向いたらまた書こう。

では。